生保商品研究Part.6 外貨建て利率変動型終身保険

 利率変動型終身保険のメリットは先の項で触れましたが、今、外資の保険会社を中心に、外貨建て利率変動型保険が人気を博してきています。円建て以上の利率で推移しているこの商品について研究してみましょう。

 外貨建て保険には現在、終身保険、養老保険、個人年金保険の3種類が販売されており、ジブラルタ生命(終身保険・養老保険・年金)、プルデンシャル生命(終身保険)などの外資系に加え、東京海上日動あんしん生命(年金)などの生命保険会社で扱われています。

 外貨の種類は、ドルがメインですが、ユーロ、豪ドルのものも出はじめ、最低保障利率を見ながら、さまざまな商品を選べるようになってきました。また、これまで外貨建て保険を契約する場合、保険料の支払いは当然外貨で行われていましたが、最近では円入金特約を設定した商品も発売され、より手軽に外貨建てのメリットを享受できる環境が整いはじめています。

また、外貨建て商品の機能はそれだけではありません。終身保険、養老保険、個人年金保険と言った貯蓄性の高い商品のみが外貨建てになっていることでも分かる通り、国際状況を鑑みて、資金の分散と言う意味でも外貨建て保険は有効に活用することができるのです。

 そして、外貨建ての商品の最大のメリットはズバリ予定利率の高さです。国内の金利が低いレベルで推移している日本では、利率変動型終身保険の円建て商品の最低保証利率は1.5%前後。

一方、ドル建ての利率変動型終身保険の最低保障利率を見ると、3.0%前後に設定されていることが分かります。しかも昨今の利率の動きでは、円建ての場合最低保障利率か実際にはそれ以下で推移しており、利率変動型のうまみを享受するに至っていません。

一方ドル建て商品に関しては現状の利率は4%前後で推移しており、最低保証利率をこえて積立金を増加させています。また、このところの円高傾向は、外貨建て商品の購入をさらに容易にしており、ドル、ユーロ、豪ドルの全ての商品が、買いやすくなっている状況です。それではここで10万ドルの利率変動型終身保険のシミュレーションを見てみましょう。

ドル建て利率変動型終身保険シミュレーション

30歳男性 60歳払込 死亡保険金10万ドル 月額保険料148ドル

 最低保証利率が円建てよりも大きいので、最低の3%で計算しても解約返戻率は加入後25年で100%を超えます。4%ならわずか17年で100%を超えてしまう計算です。円建ての利率ではなかなか実現できないのは確かでしょう。

そして死亡保険金は3%で推移した場合は10万ドルですが、4%の場合55歳で10万ドルを超え、75歳では14万2349ドルになります。またこれが5%で推移した場合、同じく75歳では20万1354ドルと、最低保証利率の場合の実に倍の保険金にふくれあがっています。

 こう聞くと良いことずくめの外貨建て商品ですが、忘れてはならないのが為替リスクです。月額148ドルと言えば、95円で計算すると1万4060円です。現在の円高傾向によって、保険料はとても安く抑えられることになります。

今後為替の動向によっては、円安に振れ、月々の保険料の負担が大きくなることも考えられます。かといって円高のままでは死亡保険金や解約返戻金を受け取る際には、せっかく利率が高くとも円に換算するとそれほどうまみが実感できないということも起こるわけです。

一番理想的なのは円高状況で保険料を払い込み、円安状況で保険金もしくは解約返戻金を受け取るというスタイル。もちろん外貨で支払われた保険金を円に替えるタイミングは自由ですので、円安傾向の時点を狙って円に直すことも可能です。

とはいえそう思う通りにならないのが為替相場です。対ドルや対ユーロならある程度の安定感がありますが、それ以外の通貨だと10年後、20年後の展望は専門家でも予測のできない状況にあるのではないでしょうか。

ドル、ユーロ、豪ドルの中で現在最も予定利率が大きいのは豪ドルです。しかしそれだけ豪ドルはドルやユーロと較べて為替リスクが大きいと考えられているのも事実でしょう。