どこまでご存じですか?国民年金と厚生年金の違い
公的年金の給付と制度
国民年金 | 厚生年金 | 共済年金 | |
死亡したら(遺族年金) | 遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 | 遺族共済年金 |
年をとったら(老齢年金) | 老齢基礎年金 | 老齢厚生年金 | 退職共済年金 |
障害が残ったら(障害年金) | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 | 障害共済年金 |
前項で触れたとおり、公的年金には遺族・老齢・障害の3つの給付があり、国民年金、厚生年金、共済年金の3つの制度があります。厚生年金と共済年金は若干共済年金に有利なところがありますが、多くの部分は同じですので、ここはシンプルに国民年金と厚生年金の二つの制度について解説してみましょう。
上記の表をご覧いただくと分かるとおり、国民年金と厚生年金も遺族、老齢、障害の3種類の給付があります。国民年金の給付には遺族基礎年金、老齢基礎年金、障害基礎年金というように、間に"基礎"という言葉が入っていることをお気づきいただけたでしょうか。
これも前項で触れたとおり、厚生年金にはすべての基礎年金が含まれており、それまでの給与所得によって上乗せする形で年金が決定されます。給付において厚生年金の方がすべて増額される形です。
一方納入する保険料を見てみると、国民年金加入者は月額一律1万4460円。自営業の夫婦の場合、夫、妻別々に支払う必要があります。厚生年金加入者の場合は月給、賞与ともに7.852%(平成21年9月?平成22年8月まで)が給与から天引きになり、さらにこの保険料の同額を会社が負担しています。
ちょっと分かり辛いので具体的な数字で紹介すると、例えば月給30万円の会社員Aさんの厚生年金保険料は月額2万3556円。賞与が60万円だった場合、これにも保険料がかかりますので4万7112円。賞与が年2回で年収480万円だったとすると保険料の年額は37万6896円ということになります。
国民年金の年間保険料が17万3520円だと考えると厚生年金加入者Aさんの方が大きな負担のように感じるかもしれませんが、ここからが厚生年金加入者のメリットです。年収480万円のAさんの年間保険料37万6896円は、全く同額を会社も厚生年金に納入しているのです。
つまりAさんの保険料は75万3792円。それなのに自己負担額はその半分なのです。もちろんこれは年金ですから、税金と違い納入された金額によって老齢・遺族・障害年金の給付額が変わってくるシステムです。多く納めればそれだけ戻ってくるお金も大きくなるのです。
さらに厚生年金加入者のメリットはそれだけにとどまりません。前述の通り国民年金加入者は夫婦でそれぞれ保険料を払う必要がありますので、家計で考えれば保険料の負担額は倍の年間34万7040円。厚生年金加入者のAさんの負担額にすでに迫る金額です。
一方Aさんが既婚者だとして、Aさんの配偶者がAさんの被扶養者(専業主婦、パート等)の場合、保険料の納付が免除される3号被保険者になることはご存じの方も多いはず。するとつまり、実質の負担額は国民年金加入者の夫婦とわずかな違いしかないのに、厚生年金に加入するAさんの夫婦はすべての年金の給付において、優遇されることになるのです。
社会制度の中で、自営業者のメリット、会社員のメリットはそれぞれありますが、こと年金制度を見る限り国民年金加入者と厚生年金加入者の差は歴然です。
次項ではさらに生命保険の設計に必要な実際の年金受取額に触れていきますが、これらのことを考慮せずに、世帯主だから死亡保険金は3000万円と考えるのがいかに乱暴なことかが分かっていただけたと思います。被保険者が自営業者の場合、会社員の場合で、保険の設計はずいぶん違ってくることになるのです。