生保商品研究Part.1 定期特約付き終身保険

 保険の種類が理解していただけたら続いて商品に入っていきましょう。まず、最初にご紹介するのは、定期付き終身保険です。終身保険の貯蓄性と、定期保険の保証額の高さを併せ持った保険で、これ一つを詳しく知ることができれば、終身保険と定期保険のそれぞれの特性も理解することができます。最初に研究するにはまさにもってこいの商品です。それでは下記の図をご覧ください。

 モデルケースとしたのは3000万円の定期保険と終身保険500万円のセットです。この場合死亡と高度障害に対する保障が二段階になっていることがわかります。

定期保険は払い込み期間満了まで更新可能。定期の保険期間中は終身保険と合わせて3500万円の死亡・高度障害の保障がありますが、定期終了後は終身保険の500万円のみが死亡保障となります。

 この商品でポイントとなるのはまず定期の更新についてです。上図の通り定期保険には10年ごとに自動更新されるものと、期間を定めてその間更新せずに保障を続けるタイプの二つのパターンがあります。

これは単独の定期保険にもいえることですが、定期保険の保険料は自動更新時に大きく変わってくることをまず承知している必要があります。自動更新する定期保険は保険会社によって様々な更新期間が設定されていますが、基本は10年。

自動更新の契約なら、告知や診査は不要で更新できますが、更新後の保険料は、被保険者の年齢によって変わります。加入時が30歳だったとして、3000万円の定期部分の保険料が5940円だった場合、40歳更新時には9100円まで上昇します。さらに50代では1万7400円となります。たった10年で定期部分の保険料は1.5倍以上になってしまうのです。

 経済が右肩上がりの時代なら、「10年後なら、収入も増えているはず」と、この定期部分の更新について深く考えずに契約した人も、更新を目の前にすると、驚くほど上昇してしまう保険料に、同条件の更新をためらうことになってしまったりしています。

 この更新を回避する方法として定期部分を終身保険の払い込み期間と合わせて60歳まで更新のない定期保険として設定することもできます。それが上図右の図のパターンです。もちろん最初の10年の保険料は10年定期より高くなりますが、そうすると加入時から払い込み完了の60歳まで保険料は同じ。

同じく30歳で加入したとして9590円の定期部分の保険料となりました。ちなみに30歳加入で60歳払込の終身保険の保険料は1万700円。定期部分と合わせて、2万290円が60歳までの保険料となります。確認のため下の表をご覧ください。

 年齢別に見た定期保険料(加入時)の推移です。更新時の保険料の上がり方も基本的に同じですので参考にしてください。初期の負担は大きくなりますが60歳満期で定期保険も設定した方がトータルでの支払い額は抑えられる結果になります。

 最近の保険はどの会社のものでもカスタマイズの自由度が増していますので、様々な特約や、保障金額の設定も調整が可能です。いざという時のために死亡・高度障害の保障は手厚くしておきたい。しかし老後のための貯蓄性も付加しておきたいという人にはぴったりの組み合わせです。

 さらに終身保険部分の紹介をしておくと、保険会社の予定利率の設定で変わってきますが、払込完了の60歳時には解約返戻率も80〜90%以上100%近くになっている場合がほとんどで、また利率が変わる市場連動型の終身保険の場合なら、65歳時で死亡保険金と同額の500万円以上を解約返戻金として受け取れる可能性も出てきます。

貯蓄性の高い終身保険ならではの魅力ですね。もちろん遺族への補償を重視するなら、解約せずにそのまま死亡保障としてとっておけば、利率が低くとも間違いなく500万円の死亡保険金が保険金受取人に渡るかたちになります。

※上記保険料や保険金の金額はあくまで試算です。保険会社や特約の設定によっても変わってきますので参考値と考えてください。